Monthly Archives: 11月 2017

資格試験の学びの前に

もうだいぶ前のことですが、友達に借りた資格試験の関連本に、びっしりと書きこみがしてありました。それを見て思いだしたのは、学生時代に使っていた教科書です。英語とか、訳を書きこんでいたんですよね。ただし彼女の物に書かれていたのは、当然日本語訳などではなく、内容を読んで気付いたことのようでした。こんなに文字があったら、本文を読むのが大変なんじゃないかしら、と心配になるくらいの分量。どうやら友人は、とても熱心に勉強したようです。
私も彼女に負けないよう、そして試験に合格できるよう、一生懸命頑張らないといけません。その後、借りた物を読み込むこと数日間、私はやっとステップアップして、もうちょっと難しいテキストを購入しました。実は借りたのは、初心者より前の人が読む、諸学のための導入編だったのです。
勉強の前に勉強しなければいけないというのは、なんとも切ないことですが、それだけ初歩の知識が不足しているのですから、しかたありません。それに今は合格している友人もこの段階から始めたと思えば、落ち込む理由はないのです。まずは一歩、前に進みましたしね……ということで、本格的な学習をスタートしましょうか。目指せ一発合格、です。

ひとりくつろぐ老婦人

先日出掛けたカフェで、美しい老婦人を見ました。いかにも上品な丈の短いジャケットにロングスカートを着た彼女は、隅の席でコーヒーを飲みながら、文庫本を読んでいました。若者がいっぱいの店内です。誰かと待ち合わせかしら。それともここのコーヒーを飲みに来たのかな。美味しいって有名だから、気持ちはわからなくもないな、と想像は広がります。
私はココアを飲みながら、失礼かと思いつつも、婦人を観察し続け……気付いたのです。彼女の持っている布製のポーチと、ブックカバーに、お揃いの記事が使われていることに。お手製でしょうか。それともセット購入?薄い紫の布地に、小さな花の刺繍が施されたそれは、ずいぶん手がかかっていそうに見えました。あんな綺麗なものを愛用できるなんて、羨ましい限りです。
それから十五分ほどたった頃でしょうか。ついに老婦人が立ち上がりました。そうか、ひとりでくつろぎに来たのかと納得していたら「おばあちゃん、待った?」と聞こえる子供の声。お孫さんと待ち合わせだったのですね。いかにも悪戯盛りの年齢の男の子が、おばあちゃんに抱き付きます。その時の彼女の顔は満面の笑みで、読書中の静けさはなくなっていました。ずいぶんと素敵なものを見せていただきました。