芸術の域に到達した絵本

先日出掛けた帰り、ふらりと訪れた古書店で、飛び出す絵本を見かけました。小さな子供が遊ぶようなタイプではなく、もはやそれ自体が芸術と言っても過言ではない、非常に緻密な造りのものです。部品がとても細かいので、たぶんちょっと変な方向から力を込めたら、くしゃりと潰れてしまうでしょう。
ぜひ我が家に飾りたいと思ったのですが、これはガラスケースに入れないといけないタイプだとすぐわかりました。だってページを開いたままにして、綺麗な絵の上に埃が溜まってしまったら、もったいないでしょう。そんなケースは我が家になく、設置する場所もないので、今回は泣く泣く諦めました。お財布の中身がちょっと心もとなかった、というのも理由のひとつなのですけれどね。
しかしあのような精緻な品が、まさか機械で作られているとは思えません。ページの印刷まではそうしたとしても、組み立ては全部手作業でしょうか。そうだとしたら、あの価格も納得できます。いえ、これでも安いくらいかもしれません。……そう考えると、やっぱりあの絵本が欲しくなってきました。なにせ古書なので、現物限り。まだお店に残っているでしょうか。ちょっと時間を見つけて、早々に行ってみようと思います。

一期一会が未来を開く

年上の知り合いが、パッチワークに夢中になっています。きっかけは近所のフリーマーケットで、小物の作り方が載っている雑誌を見つけたことだそうです。前から興味はあったけれど、自分には無理だと決めていた彼女は、何度となくその店の前を通り、店員さんと話をする内に「やってみたい」と思ったのですって。その人がとても優しかったのも理由のひとつだし、お店に並ぶ手製の布製品が、とても丁寧な作りだったのもある、と言っていました。
やっぱり、実際に完成したものを見ると、テンションがあがりますよね。これは「この本どうしようかな、買おうかな」と迷っていても、店舗で平積みになっていると、つい手に取ってしまうのと同じ状況でしょう。最近は出版から多少期間があいてしまっても、インターネットで探せば手に入るものが多いです。だからお小遣いがぎりぎりのときなどは、購入をためらいがちですが、目の前にあれば「買わなければ!」という気持ちになります。
そういう意味では、実店舗は強いですね。いくらネットが普及していても、やっぱり本との出会いは一期一会。そう思うのは、過去にたった一冊の絶版本を探し求め、あちこち走り回った経験があるからこそ、かもしれません。

お風呂で読書の失敗談

お風呂に入りながら本を読んでいたら、うっかりして、見事に水没させました。お気に入りだったのに、なんということでしょう。慌てて拾ってバスタオルで包み、自分はびしょびしょのままドライヤーで乾かそうと試みたのですが、分厚い本が、その程度で復活するはずはありません。結局、波打ったごわごわの物体になってしまいました。
途中、「そういえば昔お札が濡れた時は、窓ガラスに貼りつけて乾かしたなあ」と思ったりもしたのですよ。でもまさか、ページをはがしてそうするわけにはいきませんしね……諦めて、もう一冊購入しようと思います。そして今後は、浴室にはお気に入りを持ち込まないようにしましょう。今回はまた買える漫画だったから良かったけれど、絶版本とか販売時期が過ぎた雑誌などだったらと思うと……怖いですね。二度と手に入らない恐れがあります。
そこまで考えて、そう言えば以前友達が、スマホをケースに入れてお風呂に持ち込んでいると言っていたなあと思いだしました。本も袋に入れればいいかもしれません。半身浴が流行った時に、雑誌を読みながら……なんてことも言われていましたから、調べれば専用の物があるのでしょうか。せっかくなので、これを機に、ちょっと探してみようと思います。

漫画と引き換えに得た喜び

友人が、お母さんの誕生日に高価な座椅子をプレゼントしたそうです。年をとって膝が悪くなって、立ち上がるのが大変そうだから、と言っていました。なんて素敵な親孝行でしょう。そんな話を聞いて、そういえば私も子供時代、母にエプロンを贈ったなあと思いだしました。お小遣いは限られているけれど、誕生日にどうしても喜んでほしかったので、毎月買っていた雑誌を我慢してお金をためたのです。
当時の私にとっては、その雑誌は本当に宝物のようなものでした。部屋にどんどんたまっていっても、廃品回収には出さず、何年分も保存して読み返していたのです。そのひとつには、コミックスを買えなかったというのもあります。だって毎月たくさんの作品が読める雑誌と、そうではない漫画だったら、前者を選びたいじゃないですか。でもそれを我慢したのだから、昔の私は頑張ったなあ、と思いますね。もしかしたら、今よりずっと孝行娘だったかもしれません。
母はそのエプロンを修理しながら、何年も使っていました。ついにボロボロになってしまった時には、わざわざ「もうこんな風になっちゃったから捨てるけどごめんね」なんて言いに来てくれたのですよ。あの時は、数か月の間、漫画を我慢してプレゼントして良かったと思いました。

友情こもったレシピ集

最近夕食のメニューに新鮮味がない気がしたので、友人にレシピの本を借りました。自分だとつい、似通ったタイプのものを選んでしまいますからね。あえて友達の目線を借りたのです。ただ「なるべく簡単なものがのっている本がいい」というお願いはしました。なにせ彼女は料理上手として、私たちの間で有名な子なんですもの。
あまり難しくなくて、でもちょっと変わっているものがいい。そんな贅沢な願いを、彼女は見事に叶えてくれました。そのおかげでぺらぺらとページをめくりながら、「今晩の食事は何にしよう」と考える時間が、とても楽しみになっています。レシピ集に掲載されている写真が、それはもう美味しそうなんですよ。自分がそこまで綺麗に作れるかといえば、なかなか難しいところではあるのですが……でも「よし、この完成形を目指してがんばろう」という前向きな気持ちにはなれます。
あと、友人のコメントがついているのもありがたいです。私がそれほど器用ではないということを知っているので、ちょっとしたコツや、家庭にあまりない食材については代用品なんかを書いてくれたのですよ。一品のために新しく何かを買うのは、不経済ですからね。自分ではわからないことなので、本当に助かっています。

ブックカバーの模様を熟考中

先日購入した本の装丁が、白色メインだったので、カバーを付けた方がいいかしらと考えています。うっかり何かをこぼしたりして、汚してしまったらショックですものね。でもカバーを付けるとしたら、どんな模様がいいでしょう。今我が家にあるのは、花柄模様と、ストライプ、あとはモスグリーン一色の三枚です。これは全部、いただき物の包装紙でした。
わたしは貧乏性なのか、ついこうして、綺麗な物を集めてしまう習性があります。この間は貰ったお菓子に入っていたお店のカードが可愛かったので、パンチで穴を開けて紐を通して、しおりを作りました。これだと、思い出も一緒にとっていける気がして、後から見た時にとても楽しい気持ちになることができるのですよ。
ほかに最近作ったものは付箋や消しゴム、シャープペンの替え芯など、小さくて雑多なアイテムを入れる箱です。これは折り紙を折る要領で、やっぱり綺麗な紙で作りました。ただ薄い用紙だったので、いつまでその形を保っていてくれるか……今度はもう少し厚い用紙で作りたいところですね。それか補強を兼ねて、折ったところに糊付けをしてもいいかもしれません。ちょっとした手作りは、気分転換にもなって面白いですよ。お勧めです。

読書家あるあるの病

パソコンの使いすぎがいけないのか、それともスマホをずっと持っているのが負担なのか、左手が痛くて困っています。仕事上どうしても避けられない状況で……というなら「大丈夫?頑張りすぎないでね」と同情してもらえもするでしょうが、私の場合は、電子書籍の読みすぎなのですよね。一度夢中になると、ついつい何時間も読み続けてしまうので、それがいけないとはわかっています。
ただそれでもやめられないのが、好きなことなのです。とりあえず、腱鞘炎のツボを調べて、マッサージしています。これで良くなってくれればいいのですが……駄目なら湿布でもはってみましょうか。それともお灸やハリがいいかしら。今電子書籍にはまっている人には、手の痛みには注意してくださいねと、声を大にして言いたいです。
しかし逆に考えれば、そんなに読み進めてしまうほど素敵な作品に出会えたことは、とても素晴らしいことでもあるでしょう。大事なのは、自分の節制と体を気遣う心遣い。読書なんて絶対に負担が少なそうな趣味でも、こんなことが起こるとわかった今、本当に気を付けなくてはいけません。適当に腕と目を休めつつ、筋肉が固まらないようにストレッチも挟んだりして、楽しい時間を味わって行きたいと思います。

友人を変えたひとつの言葉

毎朝「なにかいいことないかなあ」と言うのが習慣になっている友達がいました。しかしその「なにか」がなんなのかはわからないのです。心がうきうきすること、一日が明るくなるような楽しみ……そんな曖昧な状態では、たとえそれが目の前を通りすぎても、わかるはずはありませんよね。
しかし彼女がそのことに気付いたのは、私が何度となくしてきた助言ではなく、偶然手にとった本でした。要約すると「人は自分の言葉を一番たくさん聞いているのだから、プラスの言葉を使うようにしよう」というようなことが書かれていたそうです。たしかにそうですよね。あえて口に出さない独り言だって、自分はちゃんと聞いていますもの。彼女はそれを「知識を吸収するぞ」と意気込んで選んだ自己啓発本の中で読んだので、よけい心に響いたのでしょう。
結果、一言の習慣はなくなくなり、友人は「楽しいなにか」を求めて、いろいろなことに興味を持つようになりました。あれもこれもと視野を広げれば、どこかに必ず喜びは見つかります。一か所だけを見ているだけではいけないのです。たった一冊の本が彼女をここまで買えるなんて。助言をしてきた友としてはちょっと悲しく感じますが、明るい姿が見られるのは、とても嬉しいです。

観察必須のあるある漫画

以前から作品を読んでいた作家さんが、いつのまにかママになっていて驚きました。書かれる話から「だいぶ若い方なのかしら」と想像していたのだけれど、デビュー当時から追っているのだから、年月もたっているのですよね。好きなことを仕事にし、素敵な家族まで作るなんて、本当にすごいことだと思います。この方だけではなく、頑張っている女性のすべてを応援したい気持ちになりました。
こういう気分の時は、子育てエッセイや育児あるある漫画を読みたくなりますね。笑い事ではないけれど「そうだよね」と笑ってしまう面白い話の数々……。以前はエッセイ漫画は「どうせ他人事だし」などと思っていた時もありましたが、今はすっかりはまっています。ペットあるあるネタも大好きです。飼い主さんに怒られた猫が、拗ねたり怒ったりして、飼い主さんの靴をぼろぼろにするとか、困ったちゃんなのは確実なのに、とてもかわいいと感じてしまいます。
そういえば以前は、料理が苦手な人にありがちなことという話を読んで、大笑いしましたよ。アレンジしたのにレシピ通りにやったと言う、なんて、本当にその通りだと思いました。こういうのは、日頃周囲をよく観察しているから描けることなのでしょうね。その観察眼、尊敬します。

孫娘への手製の愛

ついこの間、友達宅に突然、段ボールに入った荷物が届いたそうです。差し出し人は実家に住むお父さんで、なにかと開けてみれば、中には手縫いと思われるエプロンと、木製の包丁と野菜のおもちゃ、そして手書きの絵本が入っていたのだとか。おじいちゃんとおばあちゃんから、四歳の孫娘への誕生日プレゼントとのことでした。「作るのが間に合わなくて、遅くなってごめんね」という手紙も一緒に入っていたけれど、娘さんはそんなこと気にせずに、とても喜んでいたそうです。
なんでも手軽に買える時代になったし、実際買ったものの方が精巧な作りをしているものも多々ありますが、これはとてもいい思い出になるでしょう。もともと絵手紙とパッチワークが好きだったおばあさんが「絵本を作ろう」と思い立ち、日曜大工が趣味の夫に「おもちゃを作ってくれない?」と持ちかけて、このプレゼントは完成したとのことのでした。
なんて、いかにも知っているように言っても、全部友達からのまた聞きなのですけれどね。絵本は娘さんと同じ名前の女の子が、ママと一緒お料理を作るお話なのですって。「ちょうどお手伝いしたい年頃だからちょうどいいわ」と友達は笑っていました。それも祖父母の狙いなのでしょう。