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偶然が導く未来の先に

好きな人が、自分の興味のあることについて、熱弁を振るっているのを聞くのが好きです。それは時として、私にはまるで縁のない世界のものなので、そうなると、その人が言っていることの半分も理解できない時もあります。長々と話を聞いて、たったひとつの単語しか覚えていなかった、なんてこともありました。
ただ、私はそれでいいと思うのです。知らない言葉は聞いてすぐに忘れてしまうかもしれないけれど、何度も聞けば、記憶の片隅には残って、いつか別の人から同じことを聞いた時に、思いだしたりもします。それで興味を持って調べれば、私の知識になりますし、また忘れてしまっても、いつかは関心を抱くのかもしれないでしょう。学ぼうと思って無理をして情報を詰め込むよりは、このような緩い感じの方が、最終的には身につくのではないでしょうか。
ただ、これは恐ろしく時間がかかりますし、自分でも、世界がどんな風に広がっていくかわからないという部分もあります。なにせ偶然狙いですからね。ただ、人生は誰しも先が見えない中を進んでいるのだからと考えれば、これほど面白いこと冒険はありません。遠い将来、自分の立つ場所はどこなのか、きっと素敵なところにいることを想像しつつ、頑張ります。

繰り返しの魅力

映画好きの友人が、同じ作品を繰り返し見ることについて、「展開がわかると、細部まで見えてくるんだよ」と言っていて、はっとしました。私が同じ諸説を何度も読む時の気持ちと、まるで一緒だったからです。
1回目はストーリーを追うので精一杯、内容によっては、笑ったり怒ったり、泣いたり感動したりして、いっきに最後まで駆け抜けます。2回目は結末を知っているので、少し安心して読めますね。そのせいか読書スピードはゆっくりです。「ああ、ここが最後のあのシーンの伏線になっていたのか」などと気付く余裕もあります。そして3度目以降は、好きな場面だけ時間をかけたり、登場人物の衣装に目が行ったりと、細かなところを楽しめます。安心したいためにあえて、慣れ親しんだストーリーを楽しむ時もあるのですよ。だから、本はお気に入りに出会えれば、何度だって、何年だって楽しめるのです。
ここまで細かな話はしませんでしたが、友人もきっと納得してくれるでしょう。今度彼女の家に遊びに行った時、一番たくさん見ている映画について、話を聞いてみようかしら。きっと止まることなく、その魅力を語ってくれるでしょう。そして好きなものに対する情熱は。ぜったいに、私への刺激になると思うのです。

好きなことを続ける条件

知り合いがお芝居をしています。私が友達になったのはお互いに成人してからなのですが、十代だった学生時代に、演劇部に入ったことがきっかけで、この世界にはまってしまったのだそうです。仕事をしてお金を稼ぎ、それを芝居に費やす日々は、とても忙しく充実しているのだと言っていました。
ただ、将来の事を考えると、このままでいいのかな、と思う時もあるそうです。たとえば結婚生活を考えた時に、現状を維持できるのかとか……相手次第ではあるでしょうが、難しい問題ではありますよね。だからこそ私は、結婚して家庭を維持しつつ、作家や漫画家、その他諸々のクリエイター活動をしている方を、尊敬しています。
もちろん、他の仕事を下にしているということではないですよ。ただ、ある程度定時が決まっていて、外で業務に取り組む職種ならまだしも、家にこもって締め切りに合わせて頑張らなければならないというのは「自由な時間がとれるでしょ」なんて思われがちなぶん、大変だろうなと思うのです。家にいるからって暇なわけじゃない、と言ったところで、理解してもらえないこともあるでしょうからね。好きなことをやり続けるには、本人の意志と同様に、協力してくれる人も必須だな、と考えさせられた出来事でした。