友人を変えたひとつの言葉

毎朝「なにかいいことないかなあ」と言うのが習慣になっている友達がいました。しかしその「なにか」がなんなのかはわからないのです。心がうきうきすること、一日が明るくなるような楽しみ……そんな曖昧な状態では、たとえそれが目の前を通りすぎても、わかるはずはありませんよね。
しかし彼女がそのことに気付いたのは、私が何度となくしてきた助言ではなく、偶然手にとった本でした。要約すると「人は自分の言葉を一番たくさん聞いているのだから、プラスの言葉を使うようにしよう」というようなことが書かれていたそうです。たしかにそうですよね。あえて口に出さない独り言だって、自分はちゃんと聞いていますもの。彼女はそれを「知識を吸収するぞ」と意気込んで選んだ自己啓発本の中で読んだので、よけい心に響いたのでしょう。
結果、一言の習慣はなくなくなり、友人は「楽しいなにか」を求めて、いろいろなことに興味を持つようになりました。あれもこれもと視野を広げれば、どこかに必ず喜びは見つかります。一か所だけを見ているだけではいけないのです。たった一冊の本が彼女をここまで買えるなんて。助言をしてきた友としてはちょっと悲しく感じますが、明るい姿が見られるのは、とても嬉しいです。

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