ただ空が青いこと

唐突ですが、人生で一番幸せな時間とは、いったいどんな時間でしょう。人それぞれだとは思いますが、今日は少し、絶対的な答えがあるような気がしたんです。
乗っていたバスが、信号待ちで停車した2~3分の間、奇跡のような幸福感に満たされました。西の方から午後の光が差し込み、信号機の向こうに目をやると、神社の御神木が緑の葉を風になびかせて、私は本を読む手を止めました。
視線を上に向けると、ただ青いが広がっていました。
何か特別な嬉しいことがあったわけではなく、これから先に待っていたわけでもありません。
無条件で理由のない幸福感はあまりに圧倒的で、私は、一瞬でこの世界のすべてを手に入れたような、もしくはすべていらなくなって手放したような、そんな感覚になりました。幸福の理由は、
「ただ、空の青さが心地良かった」
それだけでした。
日頃私たちは、たくさんのことを求めます。生活、経済、夢、仕事、愛…。自分自身に向上を求めたり、自分以外の何かに求めたり、世の中の不条理に腹を立てたり感じたり、自分にも他人にも世界にも、とにかくあれこれ求めます。求める気持ちは止まらず、大きくなるばかりで、いつしかそれが普通になって、一息つく暇もなく、いたずらに求め続けてしまいます。
最近空を見上げましたか?今日の空の色は何色でしたか?幼い頃に見たあの空は、今も思い出せますか?
自分を見失わないように、いつもここからはじめたい。
ただ空が青い。それだけで幸せ。

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